教養試験対策

 まずは、従来型の「教養試験」の概要を確認しておきましょう。問題数や制限時間はさまざまですが、おおよそ120分40問(五択)くらい。出題の内訳は、
■知能分野:文章理解(和文・英文)・数的推理・判断推理・資料解釈など合わせて20問程度
■知識分野:政治・経済・日本史・世界史・地理・理科などいろいろな科目にわたり20問程度

 ……というのが平均的なところでしょう。(自治体によって相違しますが。)

◆◆教養試験対策の進め方◆◆
 狙う自治体によって作戦も微妙に変わるでしょうが、初学者が押さえるべき「最大公約数」的指針をまとめて述べるとすれば、
★公務員試験の勉強の経験がない人・乏しい人は、「数的推理」「判断推理」「資料解釈」といった分野の学習をなるべく早く開始し、点数をとれるようにします。(問題の種類ごとに解法・考え方がパターン化されているため、やれば確実に得点できるようにはなりますが、そうなるまでに時間を要します。知識分野のような「詰め込み」がきかないので。)
 近年、教養試験では「知識」分野を減らし「知能」分野にウェイトを置く流れが強まってきました。「数的」「判断」のような分野はますます重要になっています。
★一般知識の各分野をまんべんなく勉強して完璧にマスターするのはまず無理。「政治・経済・時事」など最重要分野から手をつけ、その他のマイナー分野は余裕があればつぶしていくようにすればよいでしょう。
 独学で対策しようとお考えの方は、このサイトにリンクされている「おすすめ学習書」記事などもぜひご覧ください。
 なお、制限時間内で一定の点数を確保するには「受験慣れ」も必要です。予備校などが実施している模擬試験を利用するのもいいですし、公務員試験(第一志望の自治体でなくても)を実際に受けてみるというのもたいへん有益です。(社会人のみなさんは忙しいので、「十分に準備が整ってから受けよう」などと考えるとどんどん時間だけが経ってしまいます。準備が途中でも、いろいろな日程の採用試験(1次試験)に積極的にチャレンジし、その経験にもとづいて自らの戦略を機動的に修正していく。そんな構え方のほうが理にかなっているでしょう。)

◆◆教養試験の出題レベルは?◆◆
 「大卒程度」のレベルで出題されることもありますが、多くは「高卒程度」「短大卒程度」の問題ですね。したがって、公務員試験の経験のない人・乏しい人は、まずは「高卒程度」「短大卒程度」のレベルを想定し、基礎を固めるつもりでかまわないと思います。(とくに、かなりの配点を占める「数的推理・判断推理」等で、大卒程度レベルの問題集にいきなり手を出しても、さっぱりわからない、頭に入らない、ということになりかねませんので。)

◆◆教養試験はどのくらい重要なのか?◆◆
 地方公務員の経験者採用試験で最も標準的な実施形態は「教養試験」「論文試験」「面接試験」の組合せですが、配点ウェイトを見ても、最終的な決め手になるのはあくまで面接試験(エントリーシートの記入内容なども含めて)です。実のところ教養試験は「最初の関門」にすぎません
 「教養試験」の位置づけ、ウェイトは自治体によってもかなり異なります。たとえば、教養試験は単に「足切り」に用いられるだけで、論文の評価で1次の合否が決まる特別区のようなケースがある一方、教養試験でかなり高得点を叩き出さなければ1次を通過できないケース(横山市、川崎市など)もあります。最終的合否にはあまり関係がないといっても、教養試験をクリアしないと次にステージに進めないしくみなら、一定の対策は必要となるでしょう。

◆◆共通問題と独自問題◆◆
 ほとんどの自治体では、教養試験問題の作成・採点を日本人事試験研究センターという団体に委託しているので、同日程の試験では共通の問題が使いまわされています(自治体が取捨選択したり、部分的に独自問題を加えたりすることはありますが)。したがって、こうした自治体の教養試験については市販の教養試験対策参考書・問題集を用いて対策すればOK。とくに実際の過去問を探そうとする努力は不要です(というか、ほとんどは非公開。)
 一方、東京都(キャリア活用採用選考)や特別区(経験者採用)では他の自治体とは異なり、独自に問題が作成・出題されます。したがって、都や特別区を受ける方はそれぞれの出題の特色も研究しておきましょう。(それぞれの出題内容や内訳は「自治体別研究」各ページに掲載しています。)

※従来型「教養試験」廃止の流れが強まる!
 近年、受験者確保の観点から従来型の教養試験を廃止し、もっと平易で特別な勉強を必要としない「社会人基礎試験」や民間検査(主にSPI3)を代わりに導入する自治体が激増しています。場合によっては「教養試験」という試験名称を残したまま、中身を「社会人基礎試験」や「SPI3」に置き換えていることもあり、注意が必要です。試験案内では1次試験の出題内容をよく確認してみてください。