論文試験対策

 論文試験はこれまでの職務経験をアピールする「経験論文」(自治体を問わずほぼ決まった型が存在します)と一般的なテーマについて論述する「課題式論文(一般論文)」に大別されます。多くの場合、いずれかが課されますが、「経験論文」「課題式論文(一般論文)」の両方が課されることもあります。
 実際には「経験論文」「課題式論文」双方の要素が加味された出題になっている場合もあるのですが、まずは「別もの」だと考え、それぞれに対策を進めていくべきです。

◆経験論文
 「これまでの職務経験で学んだこと」(前段)→「それを今後、自治体職員としてどう活かすのか」(後段)という順番で述べよ、というスタイルが基本です。大半の受験者はこうした基本スタイルで「決定版」「自信作」を事前に書き上げてから試験に臨むことになります。ただし、試験当日に課されるテーマは毎回、微妙に変わりますから、あらかじめ用意していた内容を丸まる再現するだけではダメです。「決定版」をもとに調整しながら書き進めなくてはなりません。
 ところで、前段の「これまでの経験で学んだこと」は、誰でも比較的簡単に書けます。圧倒的に難しいのは、後段の「今後、どう活かすのか」の部分。こちらを説得的に書くためには、「自分のいまの仕事」からいったん離れ、地方公務員(自治体職員)の仕事内容をじっくり研究してみることが必要でしょう。自分自身の職務経験を具体的にどのようにアピールすべきかも、その作業を通じて明確になってくるはずです。
 なお、近年では以上に述べた基本スタイルをアレンジし、「スケジュール管理」や「コミュニケーションの重要性」(東京特別区の出題より)など特定のテーマを与えたうえで、自らの職務経験をふまえて論述させる自治体も増えています。したがって、「時間管理」「コミュニケーション」「チームワーク」「情報共有」……など、想定されるテーマごとに自分自身の職務経験の洗い出しを行い、論述の仕方を考えてみたいところです。
 経験論文は2次以降の試験(面接試験)のさいに参照されたりすることもありえますから、事前に練習するばかりでなく、自分が書き上げて提出した内容も忘れずしっかり把握しておかねばなりません。
 また、論文試験とは別に、申し込み時に出す「エントリーシート」「職務経歴書」でかなりの長さの文章を書くように求められるケースもよくあり、この内容も実質的に評価の対象になっているはず。「エントリーシート」「職務経歴書」は経験論文と共通する部分もありますが、文書としての性質の違いもきちんとふまえて作成すべきです。

◆課題式論文(一般論文)
 課題式論文については、まずは行政論文の組み立て方/構成法をきちんとつかむ必要があります。(まったく自己流の書き方では通用しません。)そこをある程度つかんだら、あとは与えられた課題に対してどれほど知識があるか、そしてその知識をどのように整理して提示できるかの勝負。
 早めに取り掛かり、練習量を確保するに越したことはありません。時間的余裕がない場合も、主要なテーマ(キーワード)ごとに、自分なりの論点・知識をある程度文章化し、まとめておく……くらいのことは、最低限でもしておくべきでしょう。たとえば、「行政のあり方」(効率化・満足度向上・民間との協働…)「少子高齢化/人口減少」「地域活性化」「定住・移住支援」「循環型社会/SDGs」「防災・危機管理」など。最近は「DX/デジタル化」や「AI」関連の出題もかなり多いです。現在の情勢を考慮すると、今後は「子ども・子育て支援」関連がねらいめになると予想されます。