埼玉県/さいたま市・経験者採用試験

【2023年の実施内容】
■埼玉県(一般行政) 1次試験:9/24 申込期間:8/18~28
・受験資格:S38.4.2~生まれ
・職歴条件:大卒なら5年以上 短・専卒なら7年以上 それ以外は9年以上
・1次試験:<一般行政>教養(120分40問)+経験論文(75分) <一般行政以外>経験論文+資格加点
・2次試験:個別面接2回

≪実施結果≫
年度 区分(予定数) 申込者数 受験者数 1次合格 最終合格
2023 一般行政(5) 198 123 19 10
2022 一般行政(5) 157 81 16 6
2021 一般行政(5) 239 135 20 5
2020 一般行政(10) 294 186 31 12
2019 一般行政(5) 249 145 17 6
2018 一般行政(5) 329 196 16 5
2017 一般行政(5) 294 177 16 5
2016 一般行政(5) 307 183 16 5
2015 一般行政(5) 348 214 16 4
2014 一般行政(5) 397 232 14 3
2013 一般行政(3) 273 162 11 2
2012 一般行政(5) 603 384 26 5
2011 一般行政(5) 590 406 44 6
2010 一般行政(2) 285 178 18 3
2009 一般行政(2) 485 300 18 2
2008 一般行政(3) 339 235 14 3
2007 一般行政(8) 560 397 33 11
2006 一般行政(4) 464 325 24 7
*2012(平成24)年から「設備」「土木」区分など技術職の採用も実施されており、2021(令和3)年には「心理」区分も追加。ただ、ここでは「一般行政」区分だけを挙げている。また、経験者採用とは別に、20代を対象とする「海外活動経験者枠」(一般行政)が2012年に導入されていたが、2020(令和2)年までで廃止された。
*2023(令和5)年より「一般行政(DX)」区分が新設され、また経験論文の廃止、教養試験の廃止または軽減など、試験内容の思い切った簡素化が図られた。

<試験の特色・対策>
 採用予定数が少ないため、つねに厳しい戦いとなっている。

*1次試験会場で提出する「エントリーシート」には、「職務経験から得た知識、ノウハウ、ネットワーク、取得した関連資格等」「職務経験を通じて高められた自分自身の能力」の他、「埼玉県職員として、具体的にどの課所の、どのような業務で、県政に貢献したいか」という記載項目がある。県庁の部局・課所名を具体的に挙げ、どのような業務でどのような知識、ノウハウ、ネットワーク、資格を活用できるかを述べなくてはならない。
*一般行政で課される教養試験は25問/75分。前年までは40問/120分だったが問題数を大幅に削減。
*論文試験は従来、経験論文と課題式論文の両方が課されていたが、2023年より経験論文が廃止され、課題式論文のみに一本化。
【論文(課題式論文)問題例】
・「埼玉県では、本年7月から「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」が公布・施行されています。本条例は、性的指向及び性自認の多様性を尊重した社会づくりに関する取組を推進し、もって全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的としています。そこで、次の2点についてあなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。1 全ての人の人権が尊重される社会とはどのような社会か。 2 1で述べた社会を実現するため、行政はどのように取り組むべきか。」(一般行政)
・「別添の資料やあなたが日頃感じている社会に対する問題意識などを踏まえ、温暖化対策としてあなたが重要であると考える課題とその理由を論じるとともに、その課題に対し行政としてどのような解決策を行うことができるかを、900字以上1,100 字以内で論じ なさい。(※別添の資料はグラフなど4点)」(一般行政以外)
・「埼玉県では、令和3年5月に内閣府から「SDGs未来都市」に選定されたことを受け、令和3年9月に「埼玉県SDGs未来都市計画」を策定しました。同計画では、2030年のあるべき姿として、①安心・安全の追究、②誰もが輝く社会、③持続可能な成長の3つを掲げています。そこで、あなたが志望する職種の行政分野において、2030年のあるべき姿を実現するため、県としてどのような取組をしていくべきか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。なお、3つのあるべき姿から1つ以上を取り上げて論じても、全体について論じてもどちらでも構いません。」(2021)
・「新型コロナウイルス感染症により、今、私たちの社会は様々な困難に直面しています。この危機を乗り越え埼玉県が持続的に発展、成長していくためには、社会の新たな変化に的確に対応して、課題を解決していく必要があります。そこで、重要と考える課題を一つ挙げ、その解決のためにどのような取組を行うべきか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2020)
・「埼玉県では、大地震や異常気象による大規模災害などから県民の生活を守るため、危機管理・防災体制の強化を推進しています。そこで、あなたが志望する職種の行政分野において、県民の安心・安全を守るため、県としてどのような取組をしていくべきか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2019)
・「埼玉県では、持続可能で活力あふれる新時代を築いていくために、AIやIoT、ロボットなど新たな技術を様々な分野で活用した「スマート社会」の実現に取り組むことが重要な課題の一つとなっている。そのような中で、あなたが志望する職種の行政分野において、「スマート社会」の実現に向けどのように新たな技術を活用していくべきか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2018)
・「本県はこれから人口減少、異次元の高齢化など、今まで経験したことのない局面を迎える。新たな情勢に即したモデルを自ら考え、希望にあふれる未来を築いていくことが求められている。それを実現するため、本県に秘められたポテンシャルをどのように引き出し活用していくべきか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2017)
・「埼玉県の強み、又は埼玉県を取り巻く環境の中でチャンスとして捉えられるものを挙げ、埼玉県職員となった場合、それを生かしてどのような施策に取り組みたいか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で述べなさい。」(2016)
・「総務省の平成26年10月1日時点の人口推計によると、日本の総人口は1億2703万人となっている。そのうち生産年齢人口(15~64歳)は7785万人で、前年に比べ116万人減少し、平成4年以降低下を続けている。埼玉県の生産年齢人口は平成12年の501万人をピークに減少し、平成26年には 457万人となり、今後も減少することが予想されている。このような状況の中で、県内経済を活性化させていくために埼玉県が行政としてどのような取組を行うべきか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2015)
・「平成22年国勢調査の結果によると、本県全体の人口は、719万4,556人で、前回調査の17年に比べ約2.0%増加している。しかし、その内訳をみると、県南部地域は人口増加がみられる一方で、北部地域は総じて減少傾向にあり、県内が画一的に増加しているわけではない。こうした地域の状況を踏まえた上で、地域ごとの課題及びその解決策について900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2014)
・「平成26年度に、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の埼玉県内区間が全線開通する予定であり、東名、中央、関越、東北の各高速道路がすべて結ばれることになる。これにより、県内の道路交通の円滑化はもとより、経済活動など様々な分野に影響が及ぶと考えられる。そこで、圏央道全線開通が本県にもたらす効果、及び、その効果を最大限に生かすために県行政としてどのような取組を行うべきか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2013)
・「『安心を実感する埼玉』を築くために、県や民間がどのような役割を果たすべきと考えるか、あなたの考えを900字以上1,100字以内で論じなさい。」(2012)
・「本県がさらなる発展をするために必要な取り組みについて、本県を取り巻く状況に触れながら、あなたの考えを900字以上1,100字以内で述べなさい。」(2011)
・「埼玉県の強み・魅力にはどのようなものがありますか。また、それらを伸ばし、発信していくためには、県としてどのような取組が必要と考えますか。あなたの考えを900字以上1.100字以内で論じなさい。」(2010)

 最新の問題例では、一般行政以外の区分で「資料読み取り型」の課題が出されている点に注意。今後、一般行政でも出題される可能性を想定しておくべきだろう。

■さいたま市(行政事務) 1次試験:9/24 申込期間:7/31~8/21
・受験資格:S38.4.2~H5.4.1生まれ 
・職歴条件:直近10年で5年以上(継続1年以上)
・1次試験:教養(120分40問) 経験論文(60分1000字程度)
※経験論文は2次試験として採点する。
・2次試験:集団面接<10月14日> 個別面接<11月4日or5日>

≪実施結果≫
年度 区分(予定数) 申込者数 受験者数 1次合格 最終合格
2023 行政事務(5) 296 218 31 5
2022 行政事務(5) 366 256 24 6
2021 行政事務(5) 419 299 23 11
2020 行政事務(5) 272 201 24 5
2019 行政事務(5) 319 246 40 12
2018 行政事務(5) 416 323 21 6
2017 行政事務(5) 484 332 20 5
2016 行政事務(10) 523 375 35 10
2015 行政事務(10) 575 420 36 10
2014 行政事務(10) 568 406 36 10
2013 行政事務(10) 716 511 33 11
2012 行政事務(10) 693 498 30 13
2011 行政事務(10) 811 544 31 11
2010 行政事務(10) 1099 792 25 10
2009 行政事務(5) 855 640 30 9
2008 行政事務 325 245 30 5
2007 行政事務 261 192 28 5
2006 行政事務 377 285 14 2
*2016(平成28)年以降、技術職の経験者採用試験も別日程で実施。また2019(令和元)年は福祉職の経験者採用も新たに実施。なお、2021(令和3)年からは、受験資格の職務経験に「公務員としての経験」も含まれるようになった。

<試験の特色・対策>
 2010(平成22)年より採用予定数は毎年10名ずつ、最終合格者数もほぼ10名(+α)で一定していたが、2017(平成29)年から予定数が半減、最終合格者数が年によって大きく変動するようになった。
 2018(平成30)年、論文試験で一般論文を廃止して経験論文に一本化、2次では個別面接に加えて集団面接(グループディスカッションを含む)も導入するなど、試験内容が従来から大きく変更された。
 2024(令和6)年には1次試験で教養試験に代えてSPI3を導入、2次試験でも集団面接が廃止されるなど、試験内容はいっそう簡素化されている。
 最終合格者は2次試験の成績だけで決定され、1次試験の成績は反映されないしくみ。
*経験論文の出題例【行政事務】
「さいたま市が持続可能な成長・発展を続けていくためには、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念のもとに、直面する課題に迅速かつ的確に対応していく必要があります。本市が直面する課題は何か述べた上で、誰一人取り残さない地域社会の実現のため、あなたの職務経験や知識・能力を生かして、どのような取組ができるか述べなさい。」(2022)
「多様化する市民ニーズに対応するために市民サービスや行政の生産性の向上を図っていく必要がある。あなたのこれまでの職務経験で、生産性を向上させた事例を挙げ、その経験から得たことをさいたま市職員としてどのように生かすことができるか、あなたの考えを述べなさい。」(2021)
「さいたま市では「自ら主体的に学ぶ姿勢」、「職員相互に育て合うこと」、「さいたま市への想い」を人材育成の基本としています。後輩職員等の人材育成を考えたとき、仕事を進めていく上で重要なことは何か、あなたの経験を交えて述べなさい。」(2020)
「働き方改革により、さいたま市も、新たなICT技術を利活用するなど業務の効率化を図り、職員が働きやすい職場環境づくりを進めていますが、さらに働き方改革を推進していくための有効な取り組みについて、あなたの民間企業等での経験を踏まえて述べなさい。」(2019)
「さいたま市では、市民サービスの向上やコスト削減等を図るため、公民連携の推進を図っているところですが、あなたの民間企業での経験から、今後どのような公民連携が考えられるか述べなさい。」(2018)
「これまでの職務経験を通して得た能力や知識について具体的に述べるとともに、その能力や知識等を、さいたま市職員としてどのように活かしていきたいかを述べなさい。」(2017)
「さいたま市長は、日頃から職員に対し『さいたま市役所は市民一人ひとりの幸せコーディネーターである』と伝えていますが、あなたがこのことを本市で実践するとしたら、どのような取組みができるか、あなたの民間企業等で得た勤務経験をもとに具体的に述べなさい。」(2016)
「あなたが民間企業等での勤務において、時流に先んじて取り組んだと考える事例について(支障のない範囲で)述べ、これから得られた経験をさいたま市政にどのように生かしていきたいと考えているか、述べなさい。」(2015)
「さいたま市長は、行財政改革の目指す方向性として、『高品質経営』市役所への転換を掲げているが、あなたが考える『高品質経営』とは何か。あなたの民間企業等での勤務経験を踏まえて述べなさい。」(2014)
「あなたのこれまでの職務経験から学んだ『仕事における危機管理対策』について述べ、その経験をさいたま市職員としてどのように活かすことができるか述べなさい。」(2013)
「これまでの職務を通じて培った能力や経験をさいたま市職員として、どの分野の仕事で、どのように発揮していきたいか述べなさい。」(2012)
「職務経験の中で意欲的に取組んだこととその成果、それによって身に付けた能力等について具体的に述べるとともに、それを活かして市政のどのような課題に取組みたいか述べなさい。」(2011)
「厳しい社会経済情勢の下における企業経営と地方公共団体(さいたま市)の経営の違いと、これからのさいたま市はどうあるべきかを、これまでの民間企業等の勤務経験から具体的事例を挙げて述べよ。」(2010)
「これまでの民間企業等における職務での失敗事例をあげ、それにどう対応したか具体的に述べなさい。また、それらの職務経験から学んだことを、さいたま市職員としてどう生かせると考えるか述べなさい。」(2009)

 近年はオーソドックスな経験論文のスタイルを離れ、「職場のあり方」「仕事の進め方」さらにはSDGsなど、特定の課題・テーマについて論述させるものが目立っている。